岐阜和傘・岐阜うちわ
岐阜県の紙っぽい伝統工芸品には和傘やうちわもあります。
岐阜和傘も岐阜県を代表する伝統工芸品のひとつで、岐阜市の加納地区を中心に 昔から生産されてきました。 岐阜和傘の始まりは1639年、明石から加納藩主としてやってきた 松平丹波守光重が地元から一緒に傘職人を連れて来たことといわれています。 この傘職人の仕事が徐々に広まり、下級武士の生活を支える内職として加納地区 では和傘づくりが広まっていきました。 その後現在までこの地域では傘作りの流れが続いていますが、当然現在では 下級武士が作っているのではなく、熟練の傘職人の手によって生産されています。 日常生活で実際に和傘が使われていた頃ならともかく、今では内職の手を借りて までの生産量では供給過多になってしまいます。 この地域での岐阜和傘の生産量は明治時代以前は年間約50万本でしたが、 分業による生産が始まったことで約1,200万本にまで一気に急増しました。 昭和時代には年間約1,500万本のピークを迎えますが、現代社会では ビニール傘の普及もあり、雨がふったからといって和傘を使う人も減少し、 現在では主にお土産用として年間数万本が生産されているだけです。 それでも岐阜県は和傘の生産量で日本一となっており、何人もの職人が丁寧に 作り上げる岐阜和傘は日本一の和傘とも言われます。 1本の岐阜和傘を作るには、骨師、張師、つなぎ師、仕上げ師など多くの職人 の熟練した技術が必要なのです。 岐阜うちわも岐阜県の伝統工芸品のひとつで、岐阜名物長良川の鵜飼いを観に 来た観光客向けのお土産品として作られたのが始まりです。 鵜飼の時期、川辺の浴衣によく似合ううちわで、は塗りうちわ、渋うちわ、 水うちわの3種類があります。 そのへんのうちわとは違いどれも職人の手作りで、鵜飼見物のお土産にも最適です。 塗りうちわは表面を漆を塗って仕上げているうちわで一番メジャーなタイプです。 渋うちわは表面を漆の替わりに柿渋で仕上げているうちわで、日が経つにつれて 渋の色艶が増す特徴があります。 購入して最初に手に持ったときから徐々に色艶が変化していくので、 いろいろな思い出とともに長く楽しめるうちわでしょう。 水うちわは雁皮紙(がんぴし)という薄い紙にニスを塗って透明感を出した とても涼しげなうちわです。 ニスを重ね塗りしているため防水効果も備わっており、川の水に浸してから 仰ぐといった粋なこともできます。 夏の風情を存分に味わうことのできる、まさに鵜飼見物にぴったりのうちわですが、 現在ではほとんど生産されていないレアなアイテムです。 どれも数日で使い捨てされるようなうちわではありませんので、 夏の岐阜のお土産に検討されてみてはいかがでしょうか。